プロジェクト概要

フィリピンマニラ市の北部にあるスモーキー・マウンテン。そのゴミの山に囲まれて暮らす人々を目にした青年は、自分に何ができるだろうと自問した。そして、日本の子どもたちに環境について学ぶことの大切さを伝え始める。

EPISODE 01

次々に運ばれてくるゴミと
それを売って暮らす人たち。

ある日、ひとりの学生がフィリピンを旅していた。その時、現地の人に連れられた忘れがたい場所がある。それがスモーキー・マウンテンだった。スモーキー・マウンテンとは、ゴミの投棄場であり、そこで廃品回収をして日銭を稼ぐ貧民たちが住むスラム街だ。ゴミの山が自然発火することから、その名前が付けられたとも言われている。日本の青年は、大量のゴミに囲まれた場所で生まれ、その敷地を出ることなく生涯を過ごす人たちを目の当たりにした。そして、何もできない自分にも悶々とした気持ちを抱えたまま帰路についた。

彼はのちに、山陽環境開発の二代目の社長に就任する。大学から招待され、環境について講義をする機会があったときに、彼はスモーキー・マウンテンの話をした。するとひとりの学生が「そんな現実があるんですね。知りませんでした」と直接声をかけてくれた。彼は漠然と「環境学習」の必要性を感じ始めていた。

EPISODE 02

世の中の「まわり方」を
見せていく必要がある。

二代目社長の岩元氏は、小さな頃から家業に「誇り」を持っていた。小学生のときに「ゴミのゆくえ」という授業があり、そこで流れたVTRに自社の作業車が登場して、純粋に「かっこいい」と誇らしい気持ちになれた。もしかしたら自分と同じように、小さい頃からリサイクルの分野に触れることができれば、この業界や環境に対する考え方も変わるかもしれない。

岩元氏は、小・中・高とさまざまな学生の職場見学に積極的に力を入れた。段ボールがどうリサイクルされているのか。ゴミの分別はどう行っているか。会社に訪れた学生は、目を輝かせながら話を聞いてくれた。地元の市民団体に協力して、エコカルタの読み札を募集したこともある。すると予想以上の応募が集まり、感心するような読み札が多くの子どもたちから寄せられた。教育とは、共に育つ「共育」であり、ふるさとを育てる「郷育」なのかもしれない。岩元氏の頭の中に、未来につながる道すじがうっすらと浮かび上がってきた。

EPISODE 03

「他人任せ」にはしない。未来のために何ができるか。

岡山県の県北エリアには、大都市圏の自治体が運営する「環境学習センター」のような施設がない。それならば、民間企業の自分たちで作りあげるしかない。岩元氏は、かねてから地元学生の憩いの場になって欲しいと、本社1Fにカフェをテナントとして誘致していた。そのカフェで、ワークショップを開催したいという想いがある。生ゴミから肥料を作り、その肥料でバジルなどを育て、カフェのメニューとして提供するワークショップだ。
食を通じて、リサイクルを身近に体感できれば、きっと子どもだけでなく、大人たちの意識も変わる。そんな確信めいた気持ちがあった。さらに、いつでも環境について学べる施設を自社で作り、そのアテンドを社員たちが行う。そうすれば、地域の街づくりとしても大きな意味があるのではないか。スモーキー・マウンテンで燻っていた青年の想いは今、美しい緑の山々に囲まれた新見市で、花開こうとしている。未来を自分たちの手でつなぐプロジェクトは、始まったばかりだ。

PROJECT 01

西日本豪雨災害
復旧プロジェクト

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